妙見寺ブログ

  • バカロレアサービス

    2022年06月01日

    六月になりました、皆様いかがお過ごしでしょうか。

    先月副住職の赴任させていただいておりますハワイ島ヒロ大正寺では、バカロレアサービス(Baccalaureate Service)という日本のお寺にはない特別な法要が執り行われました。

    バカロレアサービスとは、大学や高校を卒業する生徒に対して、卒業をお祝いする祝典のことです。アメリカの学校では5月に卒業式が執り行われます。その為、教会やお寺でもその時期に合わせて学校を卒業するメンバーに対してバカロレアサービスが執り行われます。

    大正寺では今年檀家様の一人が高校を今年卒業されますので、お寺の本堂でバカロレアサービスを行いました。

    副住職が般若心経が唱え、卒業をされるメンバーに対して卒業後も仏様や観音様が見守ってくださるよう祈りを捧げました。その後卒業生は沢山のレイ(首にかける花輪)と数珠を受け取り、参加者の前で感謝の言葉、毎週日曜お寺で開催されるお参りで何を学んだか、仏教の教えをどうこれからの日常に活かしていくのか、今後の将来のプランなどを話されました。卒業生の家族はもちろんお寺の他のメンバーもお祝いをされましたので、約20名ほどの方が参加され、賑やか且つとても心温まる会となりました。

    私が知る限り、このような祝典を開催している日本のお寺はございません。日本のお寺はお年寄りの方が参拝されることの方が多いですが、アメリカでは若い方も沢山お寺に来られて関りを持たれています。お寺の役割は亡くなった方だけではなく、生きている人がお掃除やお寺の活動なので共に関わるコミュニティの場であり、心を落ち着ける場であり、祈りを捧げる場であり、人生を豊かに生きるために仏様の慈悲や智慧を学ぶ大切な場なのです。ハワイのバカロレアサービスを通して改めてお寺の重要性について気づかせていただきました。

    既にお寺の檀家になられていらっしゃる方は、これからもそのお寺を大切にしていただき、お寺とまだご縁のない方は是非お寺とご縁を結んでいただき、心の拠り所として大切にしていただければ幸いでございます。合掌

  • かけがえのない命

    2022年05月01日

    5月になりました、皆様いかがお過ごしでしょうか。

    先月、副住職の赴任させていただいておりますハワイ島ヒロ大正寺では「花まつり」が開催されました。

    花まつりとは、お釈迦様の生誕をお祝いする法要のことです。

    お釈迦様がルンビニー園で花に囲まれてお生まれになられたことから、法要では生まれたばかりのお釈迦様の像(誕生仏)が入っている小さなお堂(花御堂)にお花を飾ります。

    檀信徒の皆様が沢山のお花をお持ちくださり、今年もとてもカラフルな美しい花御堂が完成致しました。

       

     

    お釈迦様はお生まれになられてすぐ7歩進み、右手人差し指を天に、左手人差し指を地に向け、「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」とおっしゃられました。

    この言葉の意味は「この世に生まれた誰もが二つとない存在、独立した存在として尊い命を授かっている」という意味です。だからこそ、私たちは自分と他人とを比較する必要はなく、それぞれが互いの命を大切にしていかなければなりません。

    私たちの日常生活では何かと人と比較し、競争することが多いかもしれません。しかし、それぞれが命の重みを理解し大切にし合えたらどれだけ素晴らしい世界になるでしょうか。

    これからも毎年4月はお釈迦様の誕生を思い出していただき、与えられた自分の命、他人の命を大切にしてまいりましょう。合掌

  • 33観音お砂踏み

    2022年04月01日

    4月になりました、皆様いかがお過ごしでしょうか。

    妙見寺では先月下旬より木蓮の白い花が美しく開花しております。冬が終わり草花が豊かに成長する春の訪れを感じます。

    さて、今回も副住職の赴任させていただいておりますハワイ島ヒロ大正寺での活動の紹介ですが、先月「西国三十三所観音霊場 お砂踏み 法要」が開催されました。

    皆様お砂踏みとは何かご存知でしょうか?お砂踏みとは、四国八十八か所霊場や西国三十三所観音霊場などの巡礼をするにあたり、各お寺を参拝できない人(病気を患っていたり遠方に住んでいるなどの理由)の為に、その各お寺の本尊様の写し仏をお祀りし、各お寺から頂戴した境内の砂を写し仏様の前に敷き、それぞれのお砂を踏んでいくというものです。そうすることによって各お寺に巡礼をした時と同じ功徳を得られると言われております。

    ハワイの曹洞宗のいくつかのお寺には西国三十三所観音の仏様、並びにお砂がおまつりされておられます。その為ヒロ大正寺でも1929年よりお祀りし、それ以降2月か3月に西国三十三所観音霊場 お砂踏みの法要を毎年開催しております。ハワイの人にはあまり興味がないのではと思っておりましたが、その逆でハワイの方にはとても人気で、多くの方が毎年お砂踏みに参加されます。

    おそらくハワイにいても日本のお寺に参拝ができる、またハワイでは観音様が人気ですので観音様の慈悲のお力を授かることが出来るという理由から多くの方が参加されるのではないでしょうか。

    皆様ももしハワイに来られる機会がございましたら、ハワイで西国三十三所観音霊場 お砂踏みをしてみてはいかがでしょうか?合掌

  • レイ カンファメーション セレモニー

    2022年03月01日

    三月となりました、皆様いかがお過ごしでしょうか。

    先月は副住職が赴任させていただいておりますヒロ大正寺にてLay Confirmation Ceremony (レイ カンファメーション セレモニー)が開催されました。これは僧侶が参加者に対して16カ条の戒律(曹洞宗における16の守るべき教え)と2文字の戒名をお授けする式のことを言います。ハワイではこの式が各お寺やハワイ曹洞宗全体で定期的に開催されています。式の前には仏教の勉強会が何度か開催され、参加者は基本的な仏教の教えや曹洞宗の教えについて学びます。

    この式を通して参加者はより仏教の理解を深め、戒名をいただくことによって仏様のお弟子様になることが出来ます。ハワイではお寺に通い始めた方が初めに受ける式として非常に好評です。日本では授戒会(じゅかいえ)という戒名を授かる式がありますが、授戒会をするとなると日本から僧侶を何人もお呼びするような大規模の式になりますので、ハワイではレイ カンファメーション セレモニーという授戒会を簡略化し、現地の方に親しまれる形の式を行い、布教を行っております。

    副住職もハワイへ赴任して以降、20人以上の方に対してこの式を行ってまいりました。アメリカ人の大半がキリスト教徒ですが、日系アメリカ人や白人の中で仏教に興味がある人は非常に多いです。ハワイでは曹洞宗のお寺が9カ寺存在し、今も仏教を広めるために各お寺の僧侶が布教活動に力を入れています。今月はそんな僧侶が仏教を広めるために行っているレイ カンファメーション セレモニーについてご紹介させていただきました。

    今月はお彼岸の月ですね。今年は3月21日が春分の日に当たり、春分の日と前後三日間がお彼岸となります。お墓参りで手を合わせ、仏教の教えを日常生活の中で実践し、素晴らしいお彼岸をお過ごしましょう。

  • チュンダ

    2022年02月01日

    2月になりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

    2022年も早いものであっという間に1カ月が経ってしまいました。今月の2月15日は我々仏教徒にとってとても大切なお釈迦様が入滅された涅槃会(ねはんえ)が開催されます。

    お釈迦様は29歳から6年間の修行を経て35歳でお悟りを開かれました。その後、45年間多くの人の悩みに向き合い、幸せに生きるための道を示されてきました。お釈迦様は80歳の2月15日に亡くなられた時、写真の絵(涅槃図ねはんず)の通り、沢山の弟子や動物が涙を流し、さらには草花さえもお釈迦様の死を悲しみました。それだけお釈迦様はその当時多くの生きとし生けるものに愛情を与え、心の拠り所として生きてこられたことがわかります。

    今回はこの絵の中の左側に映っている一人の男性についてお話をしたいと思います。

    この人は熱心なお釈迦様の信者であり鍛冶屋をしている「チュンダ」という男性です。チュンダが供養した時、きのこの入った食事でお釈迦様は食中毒を起こし、入滅されたと言われております。チュンダが供養した食事を食べて病気になられたお釈迦様は、チュンダが後悔の念で苦しんだり、他の弟子たちに厳しく責められるのではないかと心配されたそうです。そこでお釈迦様は弟子である阿難にこのような話をしたそうです。

    「私はこの世界に生を受けてから、二つの素晴らしい供養の食物をいただくことができた。一つ目は苦行をしたが何も得ることができず、苦行をやめた後、スジャータという村の娘にもらった乳粥。これで身体を癒し、悟ることができた。二つ目はチュンダが供養した食物で、煩悩の無い涅槃の境地に入ることができる。この二つの供養の食物は共にひとしい果報がある。チュンダは良き功徳を積んだのだ。そのことをチュンダに伝えてきなさい。」

    お釈迦様は亡くなる前にその言葉を残し、チュンダの心を慰められたそうです。

    私はこの話を聞いたときとても驚きました。お釈迦様はこのチュンダを恨むこともなく、なんの後悔の言葉も言うことなく亡くなられたのです。むしろチュンダへの慈悲の言葉を残して亡くなられました。

    もし皆さんが通りすがりの人からキノコをもらって食べてお腹をくだしたらどう思いますか?お腹を抱えて苦しみながら、あの人からキノコをもらうんじゃなかった。とか今度会ったら訴えてやるとか思うかもしれません。
    しかしお釈迦様はそのキノコで自分が死んでしまうとしても後悔はなかったのです。これはお釈迦様がいつ死んでも後悔のない人生を送ってこられたからではないでしょうか。皆さんはいつ死んでも後悔のない毎日を過ごせていますか?死というものは私たちにとってとてもネガティブな事かもしれませんが、私たちは死について考えることで、今の自分の人生には時間の限りがあることを意識します。それを意識することによって私たちは毎日生活を最大限に充実させようと思いますし、いつか言えなくなる前に大切な人に感謝の気持ちを普段から伝えようと考えるはずです。これは禅の教えにおいてとても重要な考え方です。

    私たちは過去へ時間を巻き戻すことはできません。私たちはお釈迦様のようにいつ死んでも後悔のないよう毎日を大切に生きるべきではないでしょうか。限られた命の時間を大切にし、豊かな人生を歩んでまいりましょう。合掌

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