妙見寺ブログ

  • 涅槃会

    2018年02月01日

    2月になりました。皆さん2月15日が何の日かご存知ですか?
    バレンタインデーも大事ですが、その翌日のお釈迦様が入滅された涅槃会(ねはんえ)は仏教徒として、とても大切な日です。
    お釈迦様は29歳から6年間の修行を経て35歳でお悟りを開かれました。その後、45年間多くの人の悩みに向き合い、幸せに生きるための道を示されてきました。
    お釈迦様は80歳の2月15日に亡くなられた時、写真の絵の通り、沢山の弟子や動物が涙を流し、さらには草花さえもお釈迦様の死を悲しみました。それだけお釈迦様はその当時多くの生きとし生けるものに愛情を与え、心の拠り所として生きてこられたことがわかります。

    どんな人であっても必ず死はやってくるのです。
    皆さんはいつも身近にいる大切な人が亡くなった時、どのような気持ちを感じますか?おそらくどんなに心が強い方であっても、悲しみや苦しみが皆さんの心を埋め尽くしてしまうかも知れません。
    曹洞宗のご詠歌にお釈迦様の涅槃を歌にしたのものがあります。

    「ひとたびは涅槃の雲にいりぬとも 月はまどかに世を照らすなり 世を照らすなり」

    皆さんはこの歌詞を詠んで何を感じますでしょうか?
    お釈迦様が亡くなった時、2月15日はとても綺麗な満月が出ていたそうですが、雲によって全く見えなくなってしまいました。しかし、月は無くなってしまったのでしょうか?そんなことはありません、たとえ見えなくなってしまっても月はいつでも雲の上で光輝いて、世の中を照らしています。
    それと同じように、お釈迦様も亡くなって姿かたちは見えなくなってしまいましたが、お釈迦様の教えはいつまでも私たちの心の中で生き続けているのです。
    亡くなった方の想いも同じです。月が世の中を照らすように、私たちの心の中で先に旅立った私たちの愛する人たちの想いは、いつまでも私たちの心を照らし、生き続けているのです。
    私は大切な人を亡くした時、ただその人の冥福を祈るだけではなく、亡くなった人との思い出を大切にし、その人から頂いた優しさや愛情を、これからの私の人生で多くの人に伝えていくようにしています。
    お釈迦様の涅槃会をとおして、お釈迦様の教えや故人様の想いを受け継ぎ、より多くの人に愛情を注ぐことのできる素晴らしい人になりましょう。合掌。

  • 明けましておめでとうございます

    2018年01月01日

    謹んで新年のご挨拶を申し上げます。当山も檀信徒皆様のご慈愛を賜り、新年を迎えることが出来ました。心より感謝申し上げます。
    二〇一八年を迎え、皆様はどのようなお正月を過ごされてますでしょうか?ご家族でおせち料理を食べたり、旅行へ行かれたりと各々素敵な時間を過ごされていらっしゃることかと思います。
     今月は皆様にこんな禅語をご紹介させていただきます。それは「愛語(あいご)」です。これは我々曹洞宗の開祖である道元禅師様が説かれた教えの一つです。これはそのままの意味で「愛のある言葉を伝える」という事です。愛のある言葉は「ありがとう!」「うれしい!」など、感謝をする時だけではありません。「大丈夫?」「気をつけなさい!」など、励ましたり、人に注意をする言葉も、そこに相手を思いやる真心があれば立派な愛語なのです。
     さらに、道元禅師様は愛語についてこのような言葉をおっしゃっています。「面と向かってまごころや愛のある言葉を聞くと、人は喜びが顔にあらわれ、心がゆたかになります。」
    最近は人と向かい合うより、テレビや携帯電話と向かい合う時間の方が多いのではないでしょうか。愛語こそ人の心を豊かにし、自分自身が生きる喜びを感じることのできる大切な行いです。身の回りには好きな人、苦手な人、必ずいると思いますが、どんな人にも平等に愛語を使える人になりましょう。それが仏様の願う大切な生き方です。
     それでは皆様のご多幸とご健勝を心から祈念致しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。合掌。

  • 臘八摂心

    2017年12月01日

    寒い季節になり、妙見寺のイチョウの木の葉も美しい黄色に色づきました。

    皆さん、12月8日は何の日かご存知でしょうか?それはお釈迦様がお悟りを開かれた大切な日です。

    お釈迦様は29歳から始めた6年間の苦行を止め、12月1日から8日間坐禅を行いました。そして遂に、12月8日の早朝にお悟りを開かれました。そのお釈迦様のご修行に習い各曹洞宗の修行道場では12月1日から8日まで臘八摂心(ろうはつせっしん)という集中修行期間に入り、8日には成道会といわれる法要を行います。
    師走になり皆さんクリスマスや年末年始の準備などでお忙しくなるかもしれませんが、師走は走らず、お寺で静かに座る時間をもってみてはいかがでしょうか。来年もよろしくお願い申し上げます。合掌。

  • ガレージセール

    2017年11月01日

    11月になりました。今年も残すところあと2か月ですね。

    今回は副住職が赴任しております、ハワイ島大正寺での活動をご紹介させていただきます。

    先月21日に大正寺ではガレージセールを開催しました。日本ではあまり馴染みはないかもしれませんが、海外のお寺や教会ではファンドレージング(資金調達)の為、定期的にガレージセールが開催されます。名前の通りガレージだけでやるのではなく、お寺の地下やホールなども利用する大規模なものです。開催日の約3ヵ月前からお寺のメンバー様に呼びかけ、それぞれ必要なくなった物、買ったけど使わなかったものなど、色々なものを持ってきていただきます。その為、お寺には台所用品から洋服、家具、おもちゃ、ふとん、仏具などあらゆるものが揃うわけです。それを1つ約25円~500円程度で値段をつけて販売します。

    私にとって初めての経験でしたから、わずか25円の物ばかりを販売した所であまり資金調達にはならないかなと思っておりましたが、終わってみると、なんと約60万円!もの資金を調達をすることができました。私にとって今年一番の驚きかもしれません。

    ガレージセールを通して、メンバー様は家を掃除する良いキッカケになったと喜んでくださいました。そして使わなくなった物をただ捨てるのではなく、誰かがまたそれを買い、再利用するという「無駄をなくす、物を大切にする」という考え方が仏教の考え方と同じであり、私はとても素敵な活動であると思います。さらにこのガレージセールにはもう一つの狙いがあります。それはメンバー同士の交流です。

    同じ目的に向かい、助け合い協力しあうことで、互いに絆を深め、お寺が皆さんのより身近にあるのもだと感じていただく為に開催しております。私はこれからもお寺という場所が、皆さんの憩いの場であり、交流の場であることを感じていただき、定期的にお参りいただきたいと感じております。合掌。

  • 初心

    2017年10月01日

    お彼岸が過ぎ、だいぶ朝晩が肌寒くなってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

    今回は皆様に道元禅師様が残された大切な言葉をご紹介させていただきたいと思います。
    「身 初心なるを顧かえりみることなかれ」
    これはいつも初心を忘れることなく、どんなことにも油断することなく取り組んでいくべきだという、道元禅師様からの励ましのお言葉です。皆さんは「初心」という言葉に関して深く考えたことはございますでしょうか?今日はこの道元禅師が説く「初心」という言葉に関して、とてもその教えを大切にし、よりわかりやすく言葉にされている、アメリカで活躍をした鈴木俊隆老師を紹介したいと思います。

    鈴木老師はアメリカのZen文化に大きな影響を与えた方です。1959年にサンフランシスコの桑港寺というお寺の国際布教師として日本の静岡県から赴任されました。当時アメリカではカウンターカルチャー(既成の社会体制と価値観からの離脱を目ざす対抗文化)というムーブメントが起き、ベトナム戦争、冷戦などでアメリカ政府に不満を持った若者たちがもっと自由や平和、環境保護などを訴えるようになりました。アメメリカ西海岸にはそんな若者達がたくさん住んでおり、彼らは鈴木老師と出会い、次第に鈴木老師の禅の考え方、禅の修行に興味を持ち始めていったそうです。鈴木老師は55歳からアメリカへわたり、67歳で亡くなるまでのわずか12年間のアメリカ生活でしたが、その間に多くの禅の仲間を増やし、サンフランシスコ禅センターを始め、多くの禅の修行ができる施設が作られました。そして今も鈴木老師の教えが書かれた本が海外の方に広く影響を与え続けています。ご存知の通りIphoneで有名なアップルのスティーブジョブズも彼の影響を受けた一人です。
    私も「禅マインド ビギナーズ・マインド」と言う本を読み、鈴木老師のこの言葉がとても印象に残っています。
    「禅マインドの修行とは、初心の修行です。初心者の心とは、空であり、専門家の持っている「くせ」がなく、すべての可能性に対して、それを受け入れ、疑い、開かれている、準備ある心です。大切なことは坐禅や日常生活において、どのようにこの初心を保つか」
    この言葉を聞いて、私は改めて禅の考え方を見直させていただきました。
    大前提として、鈴木老師は禅の心が初心であると説かれています。そして初心とは、様々な考えを柔軟に取り入れることのできる開かれた素直な心です。多くの人は熟練し、何か特別な力を得たり、心境に達したりすることが良いと考えるかもしれませんが、鈴木老師はそうではなく、その初心者の純粋な心を保ち続けることが大切であるとおっしゃられました。
    では私たちの日常生活ではどうでしょうか。はじめてスポーツを習う時、はじめて車を運転する時、初めて仕事をする時、緊張もありますがとてもワクワクする感情がありますね。しかしながら、それに慣れてしまうと、真剣さも薄れ、他のことを考えてそれに取り組んでしまうかもしれません。
    曹洞宗は生活の全てが修行と言われております。食事の時や掃除の時など、どんな時でも最初に学んだ作法を忘れることなく丁寧に行うことが大切です。
    道元禅師の教え「身 初心なるを顧かえりみることなかれ」。初心を大切にするという考え方を自分の日常生活に照らし合わせていただき、今一度丁寧に物事にとりくんでみてはいかがでしょうか。それが大切な禅の心を育てる修行です。合掌。

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