妙見寺ブログ

  • 精進と忍辱

    2022年10月01日

    10月になりました、皆様いかがお過ごしでしょうか。

    暑さもやわらぎ秋らしい気候になってまいりました。妙見寺では白と赤の彼岸花が美しく咲いております。

       

     

    さて今月は一週間前がお彼岸であったということで、お彼岸に行うべき修行である「精進(しょうじん)」と「忍辱(にんにく)」についてお話をしたいと思います。

    精進とは、ひたむきに努力をすることです。一度上手くいったからと言って手を抜くのではなく、継続して努力を続けることが大切です。

    忍辱とは、面倒なことがあっても、不満などを言わず我慢強く毎日を過ごすことです。少々なことでは怒らず、冷静に物事と向き合うことです。

    努力をすること、我慢すること。これらは簡単なようでとても難しいことです。

    少し前にはなりますが、この二つの精進と忍辱の修行を実践したタイの12人のサッカー部の少年とそのコーチのお話をご紹介させていただきます。

    それは2018年の6月の終わりに起こったタイ北部チェンライの洞窟でのお話です。

    チェンライに住む12人のサッカー部の少年とそのコーチは、サッカーの練習が終わった後、皆で洞窟を探検をしにいったそうです。その際に洪水が発生し、洞窟の出入り口までの道が水で溢れてしまい、閉じ込められてしまいました。真っ暗の中彼らはひたすら救助を待ち続け、18日目にして彼らは救助隊に助けられ、無事全員生きて帰ってくることができたそうです。私はこのニュースを聞いてとても驚きました。

    想像してみてください、もし自分が真っ暗闇の洞窟の中で閉じ込められてしまったら、来るか来ないかわからない救助を2週間以上の間待ち続けることができるでしょうか?私は想像しただけで恐ろしく感じます。しかし彼らは無事生還することができたのです。

    彼らが生還出来たのは二つの理由があったからだそうです。一つ目は約2000人もの救助隊が彼らの捜索にあたったことです。多くの人が彼らの生還を願い、そしてその期待に応えるために多くの救助隊が必死に捜索にあたり彼らを救うことに成功しました。

    そしてもう一つはコーチが皆に瞑想を教えそれを実践したからだそうです。

    そのサッカー部のコーチは10歳の頃に両親を伝染病で亡くし、その後寺院で生活するようになり、座禅を組んで瞑想することを学んだそうです。コーチはその経験を活かし、子供たちに瞑想の方法を教え、仏様を信じて待ち続けた結果、彼らは奇跡的に全員生還できたそうです。

    私はこのニュースを通して、彼らの努力と忍耐に感動致しました。おそらく途中で諦めそうになる子もいたかもしれません。しかし最後まで互いに励まし合い、希望をもって待ち続けたからこそ全員が無事生還できたのではないでしょうか。

    彼らの行為はまさしく、「精進」と「忍辱」の行いであったのではないでしょうか。

    私たちの人生は何が起こるかわかりません。私たち人間にはいざという時が必ずやってきます。そんな時の為に、絶え間ぬ努力をする「精進」、我慢し冷静に物事に向き合う「忍辱」が必要なのではないでしょうか。

    お彼岸に限らず日々の行いの一つ一つに精進と忍辱の教えを活かし、大切な毎日を過ごしてまいりましょう。合掌

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