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今の瞬間を大切に生きる
2017年02月26日
厳しい寒さが続きますが、妙見寺では梅の花が開花してまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今月はお釈迦様の八正道の教えの一つである「正念」についてお話をしていきたいと思います。「正念」とは自分の意識を『今の瞬間に集中させる』ことです。
皆さんは普段の生活の中で今という瞬間をどのくらい大切に生きていますか?例えば、今この私の文章を読みながら、仕事のことを考えていたり、今日の夜のご飯は何にしようと考えたりしていませんか?もし今あなたがそのようなことを考えていれば、今の瞬間を大切に生きていないことになります。今を大切に生きるということは、この文章だけに意識を向け、丁寧に読むということです。「今を大切に生きる」ということに関して、お釈迦様はこのようなこともおっしゃっています。
「過ぎ去った日のことは悔いず、まだこない未来にはあこがれず、とりこし苦労もせず、現在を大切にふみしめてゆけば、身も心も健やかになる。過去は追ってはならない。未来は待ってはならない。ただ現在の一瞬だけを、強く生きねばならない。」
私たちは時々過去の出来事で後悔したことを引きずったり、やるべきことを後回しにしてしまうことがあります。もしあなたがスポーツをしていて過去の失敗したことをばかりを考えていては、素晴らしいプレーをすることはできないでしょう。もしあなたのやるべき宿題が明日までとわかっていながら、ゲームをして後回しにしていては、明日までに間に合わないかもしれません。今の瞬間を生きるということは、過去のことに囚われることなく、今自分のやるべきことを見極めていくことです。
私は僧侶になり8年が経ちます。その中で、私は多くの葬儀や法事を経験させていただき、ご遺族の方から、たまにこんなことを聞くことがあります。
「もっと(亡くなった)おじいちゃんにありがとうって言っておけばよかった。」「(亡くなった)主人にもっと優しく接していればよかった。」と。
過ぎ去った過去は戻ってきません。後悔してもどうにもならないのです。
だからこそ私たちは、そんなことが二度と起こらないように今を大切に生きていかなければなりません。もしあなたの周りであなたのことを想い、支えてくれている人がいれば、その人に感謝をし、「ありがとう」と言いましょう。なぜならそれが、その人に対してありがとうと言える最後の機会になるかもしれないからです。今の瞬間を生きるということは、今自分のやるべきことを怠らず、行っていくことです。 どんな瞬間も大切に生きてまいりましょう。合掌。